名古屋大学 農学部 資源生物科学科
大学院生命農学研究科
Graduate School of Bioagricultural Sciences, Nagoya University
植物病理学研究室
Plant Pathology Laboratory
植物の病害抵抗性や成長を活性化する物質の精製および農業利用
植物に対して病原菌が感染を試みると、植物はその存在を認識して様々な免疫応答が誘導します。この際、植物は病原菌が持つ特徴的な分子を異物として細胞表面のセンサー(受容体)で認識し、抵抗反応を誘導します。植物に認識される微生物に特徴的な物質は微生物関連分子パターン(Microbe-associated molecular patterns、MAMPs)と呼ばれます。当研究室ではジャガイモの最重要病原菌であるジャガイモ疫病菌(Phytophthora infestans)から植物に認識される細胞膜由来の分子の精製と構造決定を試み、さらにその物質が植物によってどのように認識されているかについて研究を行っています。
また植物細胞は、自分が傷を負った際に放出される物質を自らが認識して、修復機構や免疫力を向上させます。このような物質はダメージ関連分子パターン(Damage-associated molecular patterns、DAMPs)と呼ばれます。代表的なDAMPsとして植物の細胞壁由来のオリゴ糖であるセロオリゴ糖やキシロオリゴ糖などがあります。これらオリゴ糖を植物に処理すると、成長や病害抵抗性を促進する効果があることから、植物の免疫力を活性化する農業資材(バイオスティミュラント)としての利用も期待されています。
関連記事 (プレスリリースなど)
参考文献 (Link)
Monjil et al. (2024) Plant Physiol. in press.
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