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菌類ウイルスを用いた生物防除

 生物防除法は、環境負荷の低い病害虫防除法として推奨され、低農薬・減農薬栽培による農作物の高付加価値化等の観点からも今後の発展が期待されています。

 植物の病原因子は8割が糸状菌であると言われていますが、これらを制御することの出来る環境微生物の分離が盛んに行なわれ、一部が実用化されています。これに加えて近年、糸状菌に感染するウイルスを利用した防除法(ヴァイロコントロール;Virocontrol)が、注目を浴びるようになりました(右図)。本法は、一部の樹木病害の制御に利用されており、ヨーロッパにおいては数年かけて倒木に至るクリ胴枯病の制御にCHV1というウイルス(ハイポウイルス科)の有効性が示されています。一方で、一年生草本植物の病害に対するヴァイロコントロールには挑戦的な課題が多く存在し、この解決が求められています。このような背景の中、当研究室では、多様な糸状菌病害のヴァイロコントロールに資する菌類ウイルスを探索し(ウイルスハンティング)、その施術法の開発に臨んでいます。また、新規ウイルスの進化学的考察や宿主病原性低下機構、ウイルス-宿主間・ウイルス-ウイルス間相互作用も重要な研究課題として進めています。

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