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名古屋大学 農学部 資源生物科学科
大学院生命農学研究科
Graduate School of Bioagricultural Sciences, Nagoya University
植物病理学研究室
Plant Pathology Laboratory
菌類ウイルスと宿主菌の相互作用
ウイルスは複製や伝播等に要する多数の因子を宿主から調達し、巧みに生存戦略を確立しています。対して、一般的にはウイルスがコードする遺伝子は必要最低限であり、コンパクトなゲノム構造にこれらの遺伝子が収まっています。この遺伝子発現には、ウイルスに特徴的な機構が複数発達しており、この解明と利用が分子生物学や植物病理学の発展にも大きく寄与してきました。
最近、複数の菌類ウイルスからIRES(internal ribosomal entry site; 内部リボソーム進入部位)が見出されました。IRESとは、宿主の翻訳開始複合体を直接リクルートしてタンパク質合成を促すRNA領域で、RNAが高次に折りたたまれて形成される機能的構造を指します(図1)。通常のmRNAのCap構造やpoly Aに依存的な複合体形成とかなり異なることが分かると思います(図2)。菌類ウイルスのIRESと動植物ウイルスのIRESとの異同は、現在のところ全く分かっていません。そこで、この研究課題では、菌類ウイルスがもつ未知IRESのRNA機能構造や多様性、要求する宿主因子の解明に取り組んでいます。また、活性の高いIRESを用いて、糸状菌で使用可能な多重発現ベクターの構築と利用法開発も進めています(図3)。
参考文献 (Link)
Guo et al. (2009) Nucleic Acid Res. 37: 3645-3659.
Chiba et al. (2018) mBio 9:e02350-17.
Jamal et al. in preparation
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