top of page
名古屋大学 農学部 資源生物科学科
大学院生命農学研究科
Graduate School of Bioagricultural Sciences, Nagoya University
植物病理学研究室
Plant Pathology Laboratory
多犯性病原糸状菌の病原性機構 - 植物の抗菌物質への耐性化機構の解明
多くの植物病原菌は特定の植物に対して病原性を示します。一方で、様々な植物に感染できる「多犯性」の病原菌が知られています。代表的な多犯性の植物病原糸状菌である灰色かび病菌は、1,600種以上の植物への感染が知られている極めて多犯性の病原菌で、その感染による被害が世界的に問題になっています。
本菌の特徴として、植物の生産する抗菌性の物質に対する高い耐性が挙げられます。例えば、ピーマンの作る抗菌物質であるカプシジオール、ジャガイモやトマトの抗菌物質であるリシチンなどを処理すると、灰色かび病菌はこれらの物質の解毒酵素や排出トランスポーターの遺伝子を活性化させ、植物の抵抗性を無効化します。また、本菌は、ナス科、マメ科、アブラナ科の生産する構造の異なる抗菌物質を識別することで、それぞれの植物種を発病させる際に適切な感染機構を発動していることが明らかとなってきました。
この様な多犯性の病原菌は、どの様な感染戦略で多様な植物の抵抗性を打破して感染を確立しているのか、どのように進化して、多犯性菌としての能力を獲得したのか? 本研究では、灰色かび病菌の多犯性の機能的および進化的なメカニズムの解明を目指しています。また、灰色かび病菌の感染戦略を標的とした病害防除法の開発にも取り組んでいます。
関連記事 (プレスリリースなど)
~環境負荷のほとんどない病害防除法の開発に期待~
bottom of page